「トリツカレ男」というちょっと怖いタイトルと、
奇妙なイラスト。
第一印象からは想像できないほど、
純粋で一途な「トリツカレ男」の魅力にすっかりはまってしまった1冊です。
Contents
いしいしんじさん著「トリツカレ男」のあらすじ
物語の主人公ジュゼッペは、
何かにはまると、すっかりそのことだけに取りつかれてしまいます。
他の事が手につかなくなるほどのめりこんでしまうから、
みんなから「トリツカレ男」と呼ばれています。
ある時はオペラにとりつかれ、
ある時は三段跳びにとりつかれ、
またある時は探偵ごっこにとりかれ。
外国語、カメラ集め、潮干狩りにも取りつかれました。
そんなジュゼッペが取りつかれてしまったの女の子が、風船売りのペチカ。
ジュゼッペはペチカの事が大好きだからこそ、
その笑顔の裏に潜む、小さなくすみが気になってしまいます。
ペチカの笑顔を見るたびに、トリツカレ男にはそのこころの引っ掛かりがはっきりとわかってしまうのです。
ペチカの心に潜む冷え切った何かの正体とは一体なんなのか。
ジュゼッペはとうとう、言葉のわかるハツカネズミからペチカの「こころのくすみ」の理由を聞かされます。
そして、ジュゼッペのとった行動とは。
ぜひ本書で読んでみてください。
トリツカレ女
私もある意味、「トリツカレ女」みたいなところがあります。
高校生の頃はメロンパンにとりつかれ毎日のように食べていました。
ワーホリをきっかけにカナダにとりつかれました。
編み物にとりつかれたことも、
キャンドル作りにとりつかれたこともあったかな。
ジュゼッペほどではないけれど、
夢中になったら他のことはこれっぽちも手につかなくなります。
だから、ジュゼッペのペチカを想う気持も何となくわかります。
大好きな人が笑ってくれるなら、どんなことでもできてしまう。
ペチカの為に吹雪の中、凍えながらベランダに立つジュゼッペの事を思わず愛おしく思ってしまうのです。
もしも、ジュゼッペのような人に出会ったら、きっと私だって恋をしてしまうだろうな。
誰かを純粋に思う、って素敵なことだなと思わせてくれるお話です。