ワーホリから帰国して暫くホテルのフロントスタッフとして働いた経験があります。
最初は駅前のビジネスホテルで正社員。
その後、リゾートバイトで日本各地のホテルで働きました。
旅するように生きるを目指していた私にとっては願ったりの仕事です。
今日はそんなホテルフロント時代に出会った素敵な人とのエピソードを紹介します。
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『旅するように働く』を叶えたリゾートバイト
もちろん大変な事も色々ありました。
東京での事務職に比べ、お給料は決して高くはありません。
それでも家賃も光熱費も食費も掛からないので、収入のほとんどを貯金することが出来ました。
今となっては、体力的にこのような働き方に無理があるのと、自分にとって居心地の良い、『居場所』を持つことの幸福感を知ってしまったので、あの頃のような働き方はできないなと思っているのですが・・・
たくさんの人と出会えたホテルスタッフとしての経験が人生の財産になっていることは間違いありません。
第一印象で分かる一流の人の佇まい
私が最初に働いたホテルは、1泊4000円程のビジネスホテルです。ここで接客業のいろはを学んだと言っても過言ではありません。
その後、日本各地様々なリゾートホテルで働きました。
中にはプライベートでは絶対に宿泊できないような高級ホテルもありました。
ちなみに、私がそんな高級ホテルで働けたのはひとえに英語力のお陰です。
地方のホテルでは英語力のあるスタッフが不足しています。
「一流のホテルマンは客の靴と時計を見る」なんて事を聞いたことがあります。
そもそも、私は一流のホテルマンではないのでお客様の靴も時計も気にしたこともありませんし、見たところで高級品かどうか区別もつきませんが・・・
ただ、一流の人の放つ独特な佇まいというものがわかってきたように思います。
一流の人はフロントに立った瞬間にその姿勢と視線でわかります。
すっと背筋を伸ばして胸を張った立ち姿は自信の表れであるように思います。
かと言って決して横柄な態度をとることは無く、その視線は非常に穏やかで優しいのです。
これは男性ビジネスマンに限ったことではなく、女性でも同じ雰囲気をまとっていらっしゃいます。
同性だからこそ、このような雰囲気が醸し出せるなんてとても素敵だなあとつい憧れの視線を向けてしまいます。
このような方たちに共通するもう一つは、私達ホテルスタッフにさえ、心配りをしてくださる、という点です。
労いの言葉を掛けてくださったり、小さな事でも感謝の言葉やお褒めの言葉をくださったりします。
このような方が上司だったらなあ・・・うらやましいなあ・・・と思っていました。
辛かったホテル勤務時代を救ってくれた女性
日本各地のホテルで働いていると、時々同じような価値観を持つ人に出会う事があります。
大抵、フットワーク軽く海外へ出かけていたり、自分の夢や信念を持っていたりします。
ですが、勤務先のホテルで、何十年も勤続しているような方からすると季節ごとに職場を変えるような働き方はとても信じられない、といった感じなのかもしれません。
時々、差別的な発言をされ、悲しい思いをしたことも事実です。
もし、私が海外へ行くことなく、ご近所皆家族のような、生まれ育った小さな町から出ることなく生きていたら、旅人のように生きている人をどう思っただろう。
信じられない、と思ったかもしれないし、うらやましいと思ったかもしれません。
そんな、もしもの事は考えても仕方ありませんが、海外へ出た事によって、わたしはもっと自由に生きられるようになったと思います。
人にどう思われるかを過度に気にしていた少女時代があったからこそ、自分が本当はどうしたいのか、心の声に耳を傾ける事を意識的に行うようになりました。
様々なホテルで働いた経験は、辛い事もたくさんあったけれど、今となってはどれもかけがえのない経験だったと思えます。
関わったお客様、同僚、住んだ町の人たち、たくさん、たくさん、たくさんの人と出会う事ができたのです。
その出会いがわたしの人生でどれほどの価値があるのか、今となっては本当に良く分かります。
お客様から学んだ、人生を楽しむこと
ホテルスタッフとして日本各地で暮らしていた頃、大抵の場所はリゾート地で、まわりは観光地やお土産屋さんが立ち並び、賑やかな場所です。
退屈する事などありませんでした。
と言いたいところですが、、、そんなことはありません。
どんなに素晴らしい景色でも毎日毎日見ているとそれが普通になりますし、親しい友人もいない寂しさをうめるほどではありません。
地方の観光地では、よそから来た短期従業員としてよそ者扱いされることもありましたし、同じ日本とは言え、その土地ならではの風習や人間性の違いはあります。
そんな環境に馴染めずにストレスを感じる事はありました。
そんな時に出会ったある一人のお客様の言葉が今でも深く心に残っています。
ピンと背筋を伸ばし、きれいなスカーフを巻いた外国人の女性の方でした。
そのお客様には予約の手違いで希望の部屋を用意する事が出来ませんでした。
替わりに用意できる部屋に案内し、心からお詫びをしていた時にそのお客様がふとおっしゃったのです。
うまくいく事ばかりじゃないから旅は楽しいのよ。
何度もお詫びの言葉を口にする私を不憫に思い、優しい言葉を掛けてくれたのかもしれません。
気にしなくていいのよ、これが人生を楽しむということだから。
と優しくハグをしてくれたお客様の温かさがとても心に染みました。
ストレスいっぱいの状況で苦しんでいた私を救ってくれたお客様の言葉です。
どんな状況でも、トラブルさえも楽しむ心を持つ。
今でも仕事でいっぱいいっぱいになる事はあります。
嫌な思いをすることもあります。
疲れ切ってぐったりする事もあります。
そんな時はもっともっと過酷だったホテル勤務時代を思い出し、
上手くいかない時でも人生を楽しむ事を教えてくれた、あの女性を思い出します。
彼女なら今のこの状況にどう対処するだろう。
どんな時でも楽しむ心を忘れないで!
彼女の声が今も心に響きます。
最後に私の好きな言葉を紹介します。
Life isn’t about waiting for the storm to pass… It’s about learning to dance in the rain.
「人生とは嵐が過ぎ去るのを待つためのものではなく、雨の中でもダンスを踊ることを学ぶためのものだ」